癒しの画像|癒される言葉

 

A: 頭がいい、悪いと言っても、頭の良さには「記憶力」や「独創力」もある。「直観力」もある。   「理解力」もあれば「表現力」もある。それぞれ、ちがっている。  それは、たとえて言えば、「走る速さ」と「ボールを遠くに投げる力」が全然、別 のものだということと   同じです。
Q: 学校のテストでわかるのは、主に記憶力ですね。
A: じつは、「記憶力がいい人」「知識がいっぱいある人」だけを「頭がいい人」と見るところに、今の社会の大きな「ゆがみ」があるんです。それは「本に書いてあること」や「人の言っていること」を“うのみにする人”を、たくさんつくってしまうからです。
Q: たしかに、日本では、自分で「事実」をたしかめようともせず、うわさ話なんかに乗せられてしまう人が多いですね。
A: そういう人を「頭がいい」とは言わないでしょう。   そもそも、人間の脳には、「生まれつきのちがいはない」と言われています。もちろん、「向き不向き」はあるでしょう。また才能にも個性がある。学校の勉強だけではありません。脳の中には、絵をかく才能もあれば、人を笑わせる才能も入っている。人と仲良しになる才能、整理整頓の才能、人を思いやる才能、手紙を書く才能、スポーツや音楽の才能も当然、入っています。
Q: みんな個性が、ちがっています。
A: みんなが、ちがっていて、みんなが何かの「天才」なんです。それを「使命」という。 だれもが自分だけの、自分にしかできない使命をもっている。使命があるから生まれてきたんです。 そうじゃなかったら生まれてこない。星をみてごらん。いっぱいある。無数の星がある宇宙の中で、「この地球」に、「この今」という時を選んで、君が、あなたが、生まれてきた。それは絶対に「偶然」なんかじゃない。何か「意味」があるから生まれてきた。生まれてくることが「いいこと」だったから生まれてきたんです。自分にしかできない「使命」があるんです。必ず、何かの「天才」なんです。
今、それがなんなのか、わからないだけです。だから、絶対に自分をダメだとか、頭が悪いなんて思っちゃいけない。そもそも、いわゆる「頭が良くて」犯罪者になる人もいる。それよりも、「人を励ます天才」になったり、「人を元気にする天才」になったほうが、どれだけ素晴らしいか。どれだけ本当の意味で「賢く」「頭がいい」か、わからない。まわりの大人も、「この子は、自分よりも、ずっとずっと世界に大きな貢献をする人にちがいない。自分たちを大きく乗り越えていく人なんだ」と信じて、尊敬して、接してもらいたい。だれもが、二十一世紀の「希望」です。かけがえのない「未来の宝」です。

Q: 本当に、まわりの人の目って大切だと思います。「この子は、できない子だ」なんて、絶対に決めつけて   はいけませんね。私たちも心していかないと─。アメリカで、こんな実験をしたそうです。担任の先生が、クラスがえをするときです。次の先生に「できない子」を「できる子」ですと伝え、 反対に「できる子」を「できない子」ですと伝えました。すると新しい先生が教えていくうちに、本当は「できない子」だったのが、できるようになり、「できる子」だったのが、できなくなってしまったそうです。
A: 「自信」が“能力”を伸ばすんです。「頭がいいのと悪いのと、どのくらいの差があるか」─私の恩師であるT先生は、筆をとって、半紙に、サッと一本の線を引いて言われた。「この線の『上』と『下』くらいの差しかないんだよ」と。この「線一本」の差とは何か。それは、いろいろに言えるだろうが、「さぁ、やってみよう!」という挑戦の心がなんと言おうと、「自分は頭がいい」と思っていいんです。
Q: でも、どうしても、そう思えない人も、いるんじゃないかと思うのですが………。
A: じつは、みんな忘れているけど、これまで、もうすでに「不可能」を「可能」にしてきたんだよ。 自分で気がつかなければ、お父さん、お母さんに聞いてごらん。生まれたとき、何もできなかった君が、 今、どれほどのことができるようになったことか!君が初めて笑ったときのこと。君が初めて立てたときのこと。君が初めて言葉をしゃべってときのこと。初めて勉強机に座ったときのこと。初めて教科書を大きな声で読んだときのこと。今、君は、こうして手紙まで書いてくれたじゃないですか。自分の悩みを立派に人に伝えることもできたじゃないですか。それはじつは、「ものすごいこと」なんです。自分の脳 を「開発」してきた結果なんです。人間の脳(大脳皮質)の細胞は、じつに百四十億個もあると言われています。その細胞の一つ一つが「神経繊維」というコードで結びつけられて、脳のなかに複雑な「連絡網」がつくられている。でも、この脳の「連絡網」は最初から、つながっているわけではありません。 自分の力で「つなげる」のです。たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんにガラガラを見せると、最初はじっと見ている。少しすると、ガラガラを見て、笑うようになる。次には手を出すようになり、そして自分でつかみ、とうとう振って遊べるようになり、やがて、飽きちゃって、見向きもしないようになる(笑 い)。
Q: 新しいことができるようになることは、「脳が成長している」ということなんですね。
A: そうです。赤ちゃんがどんどん変わっていくのは、脳の中で、新しい「神経」のコードが伸びて、プラグをコンセントに差し込むように、次々に細胞と細胞がつながっているからなんです。みなさんも同じです。新しいことに一生懸命に取り組んで、「できた!」と思ったときです。勉強していて、「わかった!」というときです。そのときが、「脳のコンセント」がつながった瞬間なんです。それを繰り返すことによって、回路が太くなります。頭を使えば使うほど、しっかりした脳の「連絡網」ができるのです。 そうなれば、反応は速い。応用もきく。
Q: 複雑な情報も、まちがいなく伝わります。
A: では、脳にとっての一番の敵は、なんだろう?
Q: …………。
A: それは、「ダメだ!」と、あきらめてしまうことです。「ダメだ」と思うと、脳に「ブレーキ」が、かかるんです。あきらめてしまうと、脳自身が、せっかくコードを伸ばそうとしているのに、「ダメだ」という信号に「邪魔」されて、肝心のコンセントに接続されない。だから、わからないものは、わからないままになってしまう。
Q: すると、「頭が悪い」んじゃないんですね。プラグをコンセントに差し込もうとしていないだけなんですね。
A: 脳はもともと「勉強」が好きなんです。「学ぶこと」が好きなんです。それなのに「ダメだ」という気持ちによって、自分で自分の脳を縛りつけてしまっているんです。
Q: しかも、「自分は生まれつき頭が悪いから」と言って、努力しない「いいわけ」にする人もいます。それでは本当に頭も心も錆びついてしまいます。
A: 「生まれるつき頭がいい」ように見える人も、人の見えないところで努力しているものです。だから結論して言えば、「頭がいい人」というのは、「絶対にあきらめない人」です。わからないことから逃げるんじゃなく、「なんとしても、わかろう」と「攻めていく人」です。その「強い心」の人が、頭のいい人なんです。社会に出ても、「わからないこと、苦しいことから逃げない」という心がある人は、必ず勝っていきます。そのために今、みんなは頭脳と心のトレーニングをしているのです。
Q: 「わからない」と思ったときに、「あきらめるか」「一歩前へ進むか」の差ですね。
A: 今、手紙の君が「取り残されているんじゃないか」と悩んでいる。その悩みが尊い。私はそう思う。 「前に進もう」としているから「壁にぶつかる」のだから。前進しようとしていない人は、壁にぶつからない。だから悩まない。悩まないから成長がない。勉強がわからない─つらい。苦しい。だけど、そこが忍耐のしどころです。逃げちゃいけない。